肌の構造~敏感・乾燥・肌荒れの肌の状態~化粧品選びに役立てよう

化粧品や肌につけるものを選ぶときに乾燥肌や敏感肌、また、荒れやすい方などは何が入っているか成分を気にすることもあると思います。

実際私は、ドラッグストアや化粧品のホームページでも成分の内容を確認してしまいます。

カタカナが多くてわからないものもありますが、「あ、これが入っているからやめておこう」と言うものも中にはあります。

成分も必要なんですが、肌の構造を知っていると化粧品や肌につけるものを選ぶときに役に立つと思いまとめてみました。

スポンサーリンク

皮ふの働き

皮ふは人体最大の臓器と言われその面積は約1.6㎡にもなります。頭からつま先まで、皮ふは1枚でつながっています。

皮ふの働きは主に体を守ることです。

1、乾燥から身体をを守って内部の水分を外に逃がさないようにすること

体内の水分量は年齢によって変わってきます。

新生児:約75%
子ども:約70%
成人:約50~60%
老人:約50~55%

この体の水分を逃げ出さないようにするのが肌の大きな役割でもあります。

2、外部の刺激から身体を守ること

いつも刺激を受けている場所は角質層が厚くなって皮ふは厚みが出て硬くなります。

かかとやひじなどは厚くなっていませんか。

これは外からの刺激によって体を守ろうと、角質層が厚くなっているためです。

角質層は、外からの刺激や菌やウィルスなどの異物が体の中に侵入するのを防ぐ役割をしています。

また、化学物質などのアルカリ性のものに対して中和して常に弱酸性になるようになっています。

例えば、アルカリの物質に対しては角層の乳酸や脂肪酸で中和し、常に弱酸性になるようになっています。

その他にも光や熱などからも体を守っていますし、暑かったり寒かったりするときの体温調節、痛いときや熱いときの皮膚感覚なども大切な役割です。

皮膚の構造

皮膚は一番上の表面から順に

表皮
真皮
皮下組織

の三層に大きく分けられます。

肌のバリア機能の役目をしているのは主に表皮で、表皮はさらに細かく分かれています。

表皮

表皮は一番上の表面から順に、

角層
顆粒層(かりゅうそう)
有棘層(ゆうきょくそう)
基底層(きていそう)

に分けられます。

ターンオーバーというのを聞いたことがあると思いますが、ターンオーバーとは基底層で作られた細胞が分裂しながらおよそ28日間ほどかけて、基底層⇒有棘層⇒顆粒層⇒角層に押し上げられ移動して新しい細胞に生まれ変わることを言います。

最後は細胞の間に隙間ができて肌からはがれていきます。

28日間と言うのは20代の肌で、子どもはそれよりも早く年齢とともにターンオーバーは遅くなります。

年齢+10日、年齢+15日などと言われています。

また、代謝が悪かったり冷えがあるとターンオーバーは遅くなる傾向にあります。

ターンオーバーが乱れることにより、シミや小じわはもちろん、肌が荒れる原因にもなります。

基底層

基底層は、肌に必要なケラチノサイト(角化細胞)と呼ばれる細胞を新しく作り出す細胞です。

肌の細胞を生み出す場所ですね。

基底層にはメラニン色素を作るメラノサイト(色素細胞)が存在します。

紫外線を浴びると、メラノサイトが多くのメラニンを作り肌の色が黒になります。

シミやそばかすなどもメラノサイトの働きで、美白の研究は主にメラノサイトの働きをと言えます。

ケラチノサイトは天然の抗菌剤である抗菌ペプチドを合成することができます。

基底層の基底細胞は、絶えず分裂を繰り返し表層に向かって移動し、有棘細胞となります。

有棘層

有棘層は表皮の中で一番厚い層です。

細胞と細胞がデモソースと言う接着構造で結ばれ、この細胞の間をリンパ液が流れています。そのため老廃物を運ぶ役目もあります。

また、ランゲルハンス細胞と呼ばれる免疫細胞があり、異物や腫瘍を見つけると認識して排除するという働きをします。

近年、アトピーではランゲルハンス細胞の機能が低下しているため、免疫を過剰に反応させてしまうのではないかと考えられています。

ストレスがあるとランゲルハンス細胞は減少することがわかっています。その他にも老化や紫外線による活性酸素などでも減少します。

顆粒層

顆粒層は、ケラトヒアリン顆粒と呼ばれる小さなビーズのような顆粒細胞を含みます

ケラトヒアリン顆粒はガラス質状のため、入ってきた紫外線をはね返す働きをしています。

また、顆粒層の上の角層で重要な役割を果たす保湿成分を作り出します。

角層(角質層)

角層は厚さ約0.2ミリメートルの層で、サランラップと同じような厚さしかありません。

角層の細胞には核がなく死んだ細胞です。

この死んだ薄い細胞が体を守るのに非常に重要な役割をしています。

表皮の顆粒細胞は、2週間程度かけてゆっくりと薄い屋根瓦のような各層細胞に分化します。

これが20層ほどしっかり積み重なり、薄い膜状の角層となって体表面を包み、水を漏らさない膜ができるという仕組みです。

角層の構造

一番外側には、主な成分はトリグリセリドで、その他ワックス、脂肪酸などで構成される皮脂があります。

皮脂はフタの役割をして水分の蒸発を防ぎます。

そして、角層には肌のバリア機能や保湿に欠かせない「天然保湿因子(NMF)」と「細胞間脂質」が存在します。

天然保湿因子(NMF)

顆粒層で作られたフィラグリンと呼ばれるたんぱく質が角層に移行する際に、たんぱく質分解酵素によりアミノ酸まで分解されます。

このアミノ酸の一部が天然保湿因子(NMF)として考えられています。

天然保湿因子(NMF)の構成は、

・アミノ酸類 約40%
・ピロリドンカルボン酸 約12%
・乳酸塩 約12%
・その他、尿素、アンモニア、尿素

などです。

天然保湿因子(NMF)は水溶性成分で、ターンオーバーが正常に働かないと生成されないと言われています。

また、ケラトヒアリン顆粒が減少すると天然保湿因子(NMF)も減少します。

最近ではアミノ酸化粧品も多く、天然保湿因子(NMF)に似たアミノ酸を配合することで肌への浸透を良くし保湿します。

細胞間脂質

脂質で満たされた層状の小さな顆粒であるラメラ顆粒が、顆粒層から角層に押し上げられたときに細胞の間に放出されます。

この放出された脂質は「リン脂質」と言ってセラミドを含む細胞間脂質を形成します。

この細胞間脂質は、水分の蒸散や天然保湿因子(NMF)成分のアミノ酸の流出を防ぎます。

細胞間脂質の構成は、

・セラミド 約50%
・コレステロール 約25%
・脂肪酸 約20%
・その他、コレステリルエステル、糖セラミド

などです。

セラミドは肌の水分保持の約80%をになっていると言われ非常に重要な成分で、セラミドの構造と同じようなセラミドを配合した化粧品などもあります。

また、この細胞間脂質で水分をサンドイッチ状に挟んでいる構造を「ラメラ構造」といいます

細胞間脂質の構造が非常に大切で、この構造がしっかりいていると水分が通り抜けないので肌が潤い、刺激から体を守るという仕組みです。

天然保湿因子(NMF)、細胞間脂質、皮脂などでしっかりと水が体の外に出ないようにできています。

このラメラ構造と同じ構造で、リン脂質と同じ成分で作られているリポソームを使用した化粧品もあります。

皮膚が保湿されないと、乾燥、ひび割れ、かゆみ、痛み、また刺激に弱くなるといった様々な皮膚症状がでてきます。

各層の細胞の大きさはターンオーバーの早さに比例します。

表皮のターンオーバーが早いと小さく、遅いと大きくなると言われています。

年齢とともにきめが粗くなり毛穴も広がっていくのも、この角層の細胞が大きくなることが関係しています。

真皮

真皮は表皮の数十倍もの厚みがあり、皮ふの本体とも言われています。

表皮が水分を保持して蒸発を防いでいるのに対し、真皮は皮ふのハリや弾力を出して体を守っています。

真皮は上から

乳頭層
乳頭下層
網状層

の3つに分かれますが、表皮ほどはっきり分かれていません。

真皮には毛細血管、リンパ管、汗腺があり皮膚の細胞に必要な栄養や酸素を運んでいます。その他、知覚神経、自律神経などが走っています。

また、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸のような線維が多く存在し、肌にハリや弾力を与えていますが、その中でもコラーゲンが70%以上を占めています

真皮と表皮の間にある乳頭層ではコラーゲンやエラスチンは少なく繊維がまばらですが、ここでは水分があることが重要です。

水分があることで、表皮が真皮の網状層に対して動きやすくなりハリが出てきます。反対に水分が少ないと、肌表面は乾燥してしまいます。

ヒアルロン酸やコラーゲン配合の化粧品がありますが、基本的には化粧品は真皮に届くことはありません。

これは分子の大きさの問題です。

ヒアルロン酸やコラーゲンは分子が大きいので、保湿剤として配合されていることがほとんどです。

皮下組織

皮下組織は結合組織と脂肪細胞からなり、肌に必要な栄養を運び真皮と表皮を支えています。

多量の脂肪を含む組織で、外からの刺激や衝撃を和らげるクッションのような働きをします。発達すると体に丸みが出てきます。

また、脂肪は熱伝導率が低いため、皮下脂肪は体温の発散を防いだり体温保持をして体を守っています。

小じわは表皮の水分が減少することで起こりやすいですが、ほうれい線などの大きなシワやたるみは真皮や皮下組織の成長が鈍くなり筋肉が小さくなることで起こると言われています。

乾燥肌・敏感肌・肌荒れの状態

表皮が乱れて肌の水分が維持できないようになると、肌が乾燥してきます。

水分が維持されないようになり、外からの刺激などに敏感になるのが敏感肌です。

肌荒れに関しては食べ物なども影響してきますが、肌の表面が整っていないためにキメが乱れザラつきがでてニキビが出やすかったり、敏感肌のためアレルギーなども出て肌が荒れやすくなってしまいます。

乾燥肌・敏感肌・肌荒れが化粧品に重要なのは水分保持です。

肌の水分を蒸発させないように表にの上に膜を張るだけなら、ワセリンでも十分だと私は思います。

肌は体を守る働きがあり、外からの異物を体内に侵入させないようになっていると言いましたが、化粧品も例外ではなく、基本的に角質までしか浸透しません。

「しっかり浸透」などと謳っている化粧品も角質に入っていかないものも少なくはありません。

ここで重要なのは、角質まで浸透していかに水分が保持できるかです。

乾燥肌、敏感肌、肌が荒れやすい人は表皮の角質が整っていないことが多く、肌の水分が抜けて行ってしまいます。 肌の水分を蒸発させな...
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

error: Content is protected !!